こんにちは。「物流社員はつらいよ」を運営している、ものながれロジ男です。

今回のテーマは、自動運転トラックについてです。

自動運転トラックは「未来の技術」ではなくなった

物流業界ではここ数年、自動運転トラックに関するニュースが数多く報じられてきました。

しかし、その多くは「実証実験」や「試験走行」の段階であり、現場の物流担当者からすると「いつか実用化される技術」という印象だったのではないでしょうか。

ところが2026年7月、物流業界にとって大きな節目となるニュースが発表されました。

王子物流株式会社と株式会社T2が、関東〜関西間で自動運転トラックによる商用輸送を開始したのです。

「実際の荷物を、お客様のために運ぶ。」

この一歩は、自動運転が研究開発の段階から、物流インフラとして社会実装され始めたことを意味します。

この記事では、

  • 自動運転トラックとは何か
  • 商用輸送開始の意味
  • メーカー・海貨・物流担当者への影響
  • 今後の物流業界はどう変わるのか

を、現場目線で分かりやすく解説します。

商用輸送開始のニュース概要

2026年7月27日、王子物流と自動運転技術を開発するT2は、関東〜関西間(約510km)の幹線輸送において、自動運転トラックを用いた定期商用運行を開始しました。

対象となる貨物は紙製品です。

2025年10月から約8か月間にわたり複数回の輸送実証を行い、安全性・輸送品質・運用体制を確認したうえで、本格的な商用輸送へ移行しました。

現時点ではドライバーが乗車するレベル2自動運転ですが、T2は2027年度以降のレベル4自動運転による幹線輸送サービス実現を目指しています。

レベル2とレベル4は何が違う?

ニュースでよく目にする「レベル2」「レベル4」。

違いが分かりにくい方も多いでしょう。

レベル2が持つ意味

  • ドライバーが常に運転責任を持つ
  • 高速道路などで加減速・車線維持をシステムが支援
  • 必要に応じて人がすぐ介入できる状態

現在の商用運行はこちらです。

レベル4が持つ意味

  • 一定条件下ではシステムが運転主体
  • ドライバーの常時監視が不要
  • 幹線輸送の自動化が現実的になる

レベル4が本格普及すれば、長距離輸送のあり方そのものが変わる可能性があります。

なぜ今、自動運転が必要なのか

物流業界では慢性的なドライバー不足が続いています。

さらに2024年問題によって、

  • 時間外労働規制
  • 輸送能力不足
  • リードタイムの長期化

が現実の課題となっています。

メーカーが製品を作っても、運べなければ売上にはなりません。

港で輸入コンテナの通関が終わっても、トラックが確保できなければ荷物は動きません。

つまり物流の課題は、

「運転手が足りない」ことではなく、「物流そのものが止まるリスク」

なのです。

メーカー物流担当者への影響

メーカー物流部門では、

  • 出荷計画
  • 在庫管理
  • 生産計画

すべてが輸送能力に左右されます。

自動運転トラックが普及すると期待される効果は、

  • 幹線輸送の安定
  • 配送遅延リスク低減
  • リードタイムの平準化
  • 輸送能力確保

です。

製造業にとって物流はコストではなく、競争力そのものになります。

海貨業界への影響

海貨業務でも影響は小さくありません。

例えば輸入コンテナ。

港から配送先までの幹線輸送が安定すれば、

  • コンテナ引取計画
  • デマレージ・ディテンション対策
  • コンテナ返却管理

まで見通しが立てやすくなります。

特に繁忙期の

「トラックが見つからない」

という状況が少しでも改善されれば、海貨担当者の負担は大きく軽減されるでしょう。

物流会社の仕事はなくなるのか?

結論から言えば、なくならないでしょう。

むしろ求められる役割は高度化します。

これまで重要だったのは、

「どこの運送会社へ依頼するか」

でした。

これからは、

  • 自動運転
  • AI配車
  • モーダルシフト
  • 鉄道輸送
  • 港湾DX

を組み合わせ、

最適な物流ネットワークを設計する能力が求められます。

物流担当者は、

「配車する人」から「物流を設計する人」

へ変わっていくはずです。

普及への課題

もちろん課題もあります。

  • レベル4法整備
  • インフラ整備
  • 悪天候への対応
  • 一般車との混在
  • 荷主側の理解

これらを一つずつ解決しながら普及していくことになります。

そのため、全国で一気に自動運転へ置き換わることは考えにくく、当面は人と自動運転が共存する時代が続くでしょう。

今後注目したいポイント

物流担当者として注目したいのは、

  1. レベル4運行開始時期
  2. 対応路線の拡大
  3. 他メーカーへの横展開
  4. 運賃への影響
  5. 港湾物流との連携

この5点です。

技術だけを見るのではなく、「自社物流へどう活かせるか」という視点が重要になります。

まとめ

王子物流とT2による商用輸送開始は、自動運転トラックが「未来の技術」から「現場で使われる技術」へ変わる象徴的な出来事です。

現時点ではレベル2による運行ですが、その先にはレベル4自動運転が控えています。

物流業界は今、2024年問題、人手不足、DX、AI、自動運転と、大きな変革期を迎えています。

私たち物流担当者に求められるのは、新しい技術を「脅威」と捉えることではなく、「物流を止めないための選択肢」として理解し、活用していく姿勢ではないでしょうか。

物流は、止めない仕事です。

だからこそ、止めないための技術にも目を向けながら、これからの物流を考えていきたいと思います。


ニュース要約

2026年7月27日、王子物流株式会社と株式会社T2は、関東〜関西間(約510km)の幹線輸送で自動運転トラックによる定期商用運行を開始しました。2025年10月からの輸送実証で安全性や輸送品質を確認したうえで、実際の貨物輸送へ移行。現在はレベル2自動運転で運行し、2027年度以降にはレベル4自動運転サービスの実現を目指しています。

参考資料